「あたし、思うんだけど、」テハヌーが口を開いた。ふだんと違う、やわらかな声だった。「死んだら、あたし、あたしを生かしてきてくれた息を吐いてもどすことができるんじゃないかなあ。しなかったことも、みんなこの世にお返しできるんじゃないかって気がする。なりえたかもしれないのに、実際にはなれなかったもの、選べるのに選ばなかったものもね。それから、なくしたり、使ってしまったり、無駄にしたものも、みんなこの世界にもどせるんじゃないかなあ、まだ生きている途中の生命に。それが、生きてきた生命を、愛してきた愛を、してきた息を与えてくれた世界へのせめてものお礼だって気がする。」
~アースシーの風