音楽は弾き手よりもはるかに強い。だがこの弾き手は、荒れ狂う音の流れの上で軽々と均衡を取り、両手の間で意のままに操っていた。 〜『天使』佐藤亜紀
土くれと石ころ
愛は自分の楽しみを求めない
愛は自分への気遣いはしない
それは他の人に安らぎをもたらし
地獄の絶望の上に天国を建てようとする
ちっぽけな土くれがそう歌った
牛たちの足に踏みつけられながら
でも小川を流れる小石は
土くれとの出会いを避けた
愛は自分自身を楽しませるためのもの
自分の快楽のために他の人はある
他人の不安の中にも喜びはある
そして天国にも地獄を作って憚らない
(ウィリアム・ブレイク「経験の歌」)
単純な世界は美しい。——-人間と人間がお互いを獣のように追い回し、躊躇いもなく撃ち殺し、蹴り付けても動かない死体に変えるのは、川から霧が漂い あがるキエフの夕暮れと同じくらい、日が昇っても虫の声が聞こえるだけで全てが死に絶えたように静かなミハイロフカの夜明けと同じくらいに美しい。
~『ミノタウロス』 佐藤亜紀
海景樓 (via M!chaelkui)